
2025年2月26日
英国オックスフォード大学発の自然資本・生物多様性リスク評価ベンチャー「Natural Capital Research」との資本業務提携について
MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(代表取締役社長:新納 啓介)は、企業の自然資本・生物多様性にかかる情報開示や意思決定を支援する英国Natural Capital Research社(以下Natcap社)と資本業務提携をしましたので、お知らせします。
1. 背景・目的
近年、自然資本や生物多様性の維持・保全が深刻な世界的な課題となっており、日本でもTNFD※1によるガイドライン公表を受け、各種法律案が閣議決定されるなど、これらに配慮した経済・社会の持続的発展が求められています。
一方、企業はTNFDが推奨するLEAPアプローチ※2に従い、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)といったステップを踏んで情報開示を行う際、データへのアクセスや評価手法の選択において多くの課題に直面します。
また、自然資本や生物多様性の喪失は、様々なリスクの増大を招くため、保険会社には、そのリスク管理能力を活用したソリューションの開発が期待されています。
そこで、2024年4月より、当社とAIOI R&D Lab - Oxford(以下、R&D Lab)、Natcap社は、自然資本・生物多様性にかかる事業リスクを診断する新技術の共同研究開発を行っております※3。
今般、当社はNatcap社と資本業務提携を行い、自然資本・生物多様性リスクにかかる共同研究を加速させ、両社の生物多様性リスクソリューションを強化するとともに、販売分野における協力も行っていきます。その第一歩として下記のとおり自然資本・生物多様性リスク開示支援サービスの提供を開始します。
※1 自然関連財務情報開示タスクフォース(The Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)。金融機関や投資家の適切な投資判断のために、企業における自然環境や生物多様性に関するリスク・機会の開示を促すためのタスクフォース
※2 自然・生物多様性との接点、影響・依存関係、リスク・機会など、自然関連課題の評価のための統合的なアプローチとしてTNFDが推奨
※3 https://www.aioinissaydowa.co.jp/corporate/about/news/pdf/2024/news_2024040401292.pdf
2. 資本業務提携の概要
(1)提携内容
共同研究開発 | ・当社とNatcap社は共同研究により、TNFDなどの主要フレームワークや変化する規制動向・顧客ニーズにあった両社の自然資本・生物多様性関連の商品・サービスの開発・機能強化を行います |
自然資本・生物多様性リスク開示支援サービスの提供 | ・当社がお客さまにNatcap社を紹介し、Natcap社のソリューションを活用したコンサルティングサービスを提供します(2月提供開始) ・また、自然資本・生物多様性に関する高度な専門知見とコンサルティング実績を有するMS&ADインターリスク総研株式会社による本ソリューションを活用した日本語でのコンサルティングサービスの提供も開始します(6月提供開始) ・将来的には、本診断ソリューションの操作性などを改良し、本ソリューション単体でもお客さまにライセンス提供する予定です |
取締役の派遣 | ・当社はNatcap社の主要株主として、1名の取締役を派遣します。当該派遣により、同社が有する本領域におけるネットワークに深く関与し、スピード感をもって、共同研究開発を進めていきます |
<自然資本・生物多様性リスク診断ソリューションの提供イメージ>
(2)Natcap社について
会社名 | Natural Capital Research Ltd. | |
代表者 | (CEO) | |
創業者 | Prof. Baroness , CBE | |
設立 | 2018年9月20日 | |
所在地 | Office 2.01 - 2.03, 31 - 35 Kirby Street, London, England, EC1N 8TE | |
URL | ||
事業内容 | ・R&D Labの自然・生物多様性に関するアドバイザーであるオックスフォード大学のキャシー・ウィリス教授により設立され、企業の自然資本・生物多様性にかかる評価、対応、開示を支援する ・自然資本・生物多様性にかかる評価、対応、開示に必要なデータ・テクノロジーを提供するほか、同分野のコンサルティングも行う ・LEAPのLocate(発見する)およびEvaluate(診断する)において、TNFDのウエブサイトで自然関連データ推進者として紹介 |
(3)出資について
出資実行日 | ・2025年2月25日 |
出資の概要 | ・第三者割当増資 |
3. 今後の展開
自然資本・生物多様性が豊かな生態系は、地球温暖化の抑制、洪水や土砂崩れなどの自然災害を緩和する役割を果たすなど、気候変動や自然災害の頻度、規模にも密接に関わっています。
当社は、引き続き自然資本・生物多様性関連の動向を注視しつつ、リスク・ソリューションの開発を行い、企業の自然資本・生物多様性への取り組みをサポートすることで、より豊かで災害に強い、持続的な社会の実現に貢献していきます。
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